売れるお店の心理学

売れるお店の心理学(11)

今スタートラインとし未来を見る

ジョイボンド 古舘忠夫(光潔)

最大手のデパート三越が創業100年を記念し新店舗を開店した。その反面地方都市の支店を5店舗閉鎖した。
物は巷に溢れ、生活には不自由の無い時代、企業のあり方や方向性を真剣に分析し具現化しなければ成らない時代に突入した。
魅力ある商品、癒しの商品、夢を創造させる商品、お客様の滞留時間の延長等、販売店では一般的な考え方であり、その段階は時代遅れと成っている。

我々自動車業界でも変革の時代に入り、徐々に売れる商品アイテムは減少傾向となり、全体的にビジネスチャンスが閉ざされて来ている。特に車検整備業界はよほど知恵を働かせなければ未来が無い深刻な時代となる。
自動車メーカーの戦略は、新車販売と同時に車検までのメンテナンスを同時に販売し、整備業界に仕事が回らない方策を立てている。従って近い将来に車検整備を主とした工場は、全国で約半数は淘汰される。

最近の新車はコンピユーター化が更に進み、一定の走行距離に達すると点検時期であることをモニターに表示する。その表示はデーラーに持ち込まない限り消す事が出来ない。従って一般整備工場では一切手が付けられなくなる。
また、ハイブリッド車・燃料電池車両が一般車として普及した場合には、整備工場の生きる場は失われてしまう。
これらの変革は時代の流れで有り、自動車メーカー本体の危機感から将来の需要低下を見込んだお客様捕捉の戦略である。

この方式はヨーロッパ車が最初に導入し、事故防止のシステムとしてうたっているが、本音は整備作業の独占化システムなのである。
それに加えて4年車検も具体化すれば整備業界は風前の灯火となることは明らかである。その事は5年も前から感じ車検に頼る危険性を訴えてきたが、受け入れてもらえなかった。今では遅いかもしれないがアメリカの自動車業界を手本に独自のカーケアー関連事業を立ち上げて頂きたい。

オートウエーブは創業時から物販に頼らず、作業収益事業に取り組み他社との差別化を促進し、多くのお客様から高評価を得て飛躍したのである。
その影響は他社も模倣し差別化を図っているが、お客様のニーズに関係なく走り過ぎて採算の取れない分野にまで網を広げ、目先の収益を追っているように伺える。
たしかに、アイテムを多く持つ事は大事な事だが、待ちの商売ではデパートと同様で、お客様自身が感じる魅力商品か、目的に応じた商品しか売れない。

オートウエーブでは、商品が持つ魅力を訴え説明し、需要を創造するところから出発している。その為、同業他社で売れていない商品でもオートウエーブでは売れるのである。その事は商品を納入している企業が一番知っている。
これからの展開は、更にお客様との関係を深めると同時に、自動車業界全体の動向を把握し、方向性を決定しなければ成らない。

それには自動車メーカーの弱点を見出し、それを商材にしなければ生きる術はなくなる。自動車メーカーで占有できるのは機構的メカニックだけであり、業績が安定すればするほど危機感は薄れ、他の部位については手放し状態となる。その時代には整備業界は淘汰の後であり、カーケアー関連ビジネスは多く発生する。
その時のニーズを何処でキャッチするかと言うと、広岡会長がいつも言われている「お客様に教えられる」は、今のニーズを素直に捉え、即実行し販売技術として戦力に転換するのである。
未来は今日の積重ねであり、遅れれば未来の夢は遠ざかる。考えてから歩くのではなく考えながら走るのである。

業界は異なるが、現在、自動車整備学校を卒業し、自動車デーラーに入社できなければ職が無くなる恐れがある危機感から、カーケアー技術を必修科目に導入したいと言う話も来ている状態である。
ビッグサイトで開催された国際福祉機器展では、世界先進国から多く出展され、その中のメイン商品が福祉車両と飛ばれる特殊車両であった。自動車はあらゆる所で使用される訳で、お客様に喜ばれながらの自動車に関連する商材は幾らでも発掘できる。
また、リサイクル法が施行されるに当たって、リサイクル工場が主要都市に建設されているが、廃車の台数が極端に減少し運営継続が危ぶまれてきている工場も現れた。
その原因が廃車寸前の車両を東南アジアや発展途上の国向けに、輸出が盛んになり、その引き金と成ったのが30歳代の女性が始めたインターネットビジネスと言われている。

情報化時代が一般化する中、我々も世界規模の動向を真剣に理解し、各社の知恵を集積し、日本人の繊細な技術を商品化して未来の戦力にして頂きたい。